墓じまいの不安を解消

コラム

「名前を残す」ということ──合祀でも名板をつける理由

最近では、「お墓を持たない」という選択をされる方が増えています。
その中でもよく選ばれているのが、合祀(ごうし)供養と呼ばれる方法です。

これは、一人ひとりのお墓を作らず、たくさんの方と一緒に納めるかたちの供養です。
「お墓を守る人がいない」
「費用をできるだけ抑えたい」
「子どもに負担をかけたくない」
――そんな思いから選ばれる方が多くなってきました。

けれど、こんな声もよく耳にします。
「合祀だと名前が残らないのが少し寂しい」
「誰も思い出してくれなくなるんじゃないか」

そんな気持ちを受けとめるように、今では合祀でも“名板(めいばん)”をつけられるサービスが増えてきました。
名板とは、お名前や命日を刻んだプレートのこと。
小さなものかもしれませんが、それがあることで
「ここに、確かにその人がいた」
という証(あかし)になります。

不思議なもので、名板に書かれた名前を見つけると、
自然と手を合わせたくなったり、
その人のことを思い出したりします。

名前を残すことで、
家族や大切な人が、これからもずっとその人のことを思い出せる。
そして、自分自身も「ちゃんと供養できた」という安心が得られる。
それは、心にとってとても大きなことなのです。

もちろん、供養に正解はありません。
名前があってもなくても、大切なのは心から手を合わせること。
でも、“名前を残す”という選択が、
誰かの心をそっと支えることもあるのです。