墓じまいの不安を解消

コラム

「田舎にある“知らないお墓”…本当に他人のお墓ですか?」

― 見過ごされがちな“もうひとつの墓じまい”

「実家の近くに、古いお墓があって……でも、誰のお墓なのか正直わからなくて。」

こういったご相談をいただくことが、最近とても増えてきました。

たしかに、私たちの暮らしはどんどん都市部に移り変わり、田舎の本家やお寺との縁が薄れていく中で、「自分の家のお墓って、いくつあるの?」という問いにすぐに答えられる人は、決して多くありません。


◾ 過去帳の中に“あなたのルーツ”があるかも

よく「全然関係ないと思います」とおっしゃる方でも、実際に調べてみると、過去帳や古い戸籍の中に、そのお墓につながるルーツが見つかることがあります。

特に、昔ながらの地方のお寺では、「●●家」と記された墓石があっても、そのご家族が代替わりや転居などで音信不通になってしまっていることが多いのです。

長年放置されているお墓には、霊園や自治体から「無縁化のお知らせ」が届くこともあります。「誰のものか分からないから」と見て見ぬふりをしていると、いずれ撤去や合同埋葬といった対応を取られてしまうことも。


◾ “知らないお墓”との関係を、そっと確かめてみる

もちろん、すべてのお墓に責任を負う必要はありません。

でも、どこか気になるお墓があるなら、ぜひ一度、現地に足を運んでみてください。
お寺のご住職に「このお墓、何か記録は残っていますか?」と聞くだけで、案外すぐに手がかりが得られることも多いのです。

「誰のお墓か分からない」状態を、ひとつひとつ丁寧に確認し、必要であれば墓じまいの手続きを進める。それは、“家の荷物を片づける”のと同じように、心を軽くしてくれる作業でもあります。


◾ “関係ない”と思っていたそのお墓に、意外なつながりが

中には、「ずっと知らないと思っていたけれど、実は父の兄のものだった」「母が幼い頃に亡くした妹のお墓だった」ということも。

時間が経つほど、記憶は薄れていきます。けれど、お墓は記憶を残してくれているんです。
“知らない”と感じたその場所に、大切なご縁が眠っているかもしれません。


「他人のお墓」だと思っていたものが、
実は“あなたの人生の一部”だった――

そんなことも、きっとあるのです。